スザルル(ギアス)
何処を探しても見つからない。
沢山探したんだ。
家の中も、戸外も。
鞄の中も、制服のポケットも。
でも、欲しいものは見つからない。
その内に何を探していたのか分からなくなった。
忘れて7年。
忘れた事さえ忘れていた。
でも思い出した。
再会して思い出せたんだ。
でも照れくさいから感謝なんて声には出さない。
言葉にしない。
でもそっと、小さな声で、聞こえないぐらいの大きさで言っておこう。
ありがとう、スザク…
忘れたものは、人のぬくもり…
浜泉(おお振り)
探し物に付き合わされて早1時間。
何でもとっても大切なんだとさ。
大切なものって何?
家の鍵?
家に入れなかったら大変だな。
財布?
それはマズイだろ。
教科書とかノート?
大切なんて言わないよな。
でも大切とか言う割には真剣に探していない気がする。
それに、オレが一緒に探さないと見つからないって言われたから付いて来たけど、何を探すのか聞いていない。
「何を探せばいいんだ?」
「あれ?言ってなかった?」
何を言い出すんだろう。
今更聞くなとでも言いたいのだろうか。
「実はもう見つかってるんだ」
そう言われ、困ってしまう。
何を探していたと言うのだろうか。
「練習大変だからあんまり2人きりになれなかったじゃん?
だから、泉との幸せの時間探しってな〜んちゃって」
にへらっと笑う実は年上の可愛い相方に、鉄拳を食らわすまで後3秒…
侑四(ホリック)
居場所なんて、あるようで無いものだと思っていた。
子どもにとって1番の安全基地である両親が死んだ。
引き取られた先はとても良くしてくれたけど、何となく居ずらかった。
一人暮らしを始めた。
帰っても『おかえり』の声が無い事に寂しさを覚えた。
学校でも特に仲の良い友達は居なかった。
だから居場所なんてものを知らない。
現実的に身を置ける場所があればそれで良いと思った。
でも違った。
いつの間にか侑子さんが居場所をくれた。
暖かい、心地良い場所。
子どもは安全基地を見つけると、安心して探求活動を始める。
ちょっとだけ、探求活動をしてみようと思う。
まだ見ぬ、居場所に憧れながら…
誠二→主人公(オレハニ)
兄貴にだから先輩をあげるんだからね!
本当は他の誰にも渡したくなかったんだけど。
でも、兄貴の隣で幸せそうな先輩がとっても綺麗に見えたから。
兄貴を凄く好きなのも分かったから。
言ってないって?
うん、先輩の口からは聞いてないよ。
でも兄貴と一緒の先輩を見ればすぐに分かるって。
目なんか糸みたいに細めちゃって笑ってるし、頬も少し赤くて、きっとドキドキしながら隣に居るんでしょ?
兄貴に泣かされるような事があったらすぐに僕のところに来るんだよ?
そんな時にでも、それでも良いから、此処に居てよ。
ねぇ、先輩…
ハルカイ(スイッチ)
歳の割りによく泣く。
あいつに対する俺の印象。
本人は気にしてないみたいだけど、俺は気になって仕方ない。
気になるって言うのか、ウザイから気になると表現するのが妥当だろう。
それでも情が沸いた。
毎朝通る道で、毎朝見かける人に愛着が沸くのときっと同じ事だろう。
一緒に行動した事で気になるようになった。
何でこんなアホでゆるい奴を気にするのか自分でも分からない。
本当に人間の心理は難しい。
言葉では強くあたるが、本心は半分ぐらいしか言わない事もある。
だから、その…
お願いだ、泣かないでくれ。
ため息混じりにそう告げると、あいつはきょとんとした顔で泣き止んだ。
アホ面全開で、より一層、大きな溜め息が自然と出てしまうのだった…